Beyond the Classroom

人類が拓く「最先端科学の知性」と、
自然へのリスペクトから生まれる「豊かな感性」。
二つの世界を軽やかに行き来する、
次世代のハイブリッド・ラーニング。

都市の流れとは異なる、「生命のサイクル」を肌で感じる

私たちが便利さと引き換えに失いつつある、自然との繋がり。科学技術やAIが驚異的な進化を遂げる現代だからこそ、野外教育(アウトドアエデュケーション)はかつてないほど重要な意味を持っています。

日本の国際教育を長年にわたり牽引してきたキャロル・犬飼・ディクソン先生が語る、都市の喧騒から離れて「生命の有機的なサイクル」に触れる大切さ。
ひとつの菜園からあらゆる学問が繋がり、地球と調和して生きる力を育む「最高の教室」について、温かいメッセージを届けていただきました。

  • 豊かな感性を育む: 蝶の生涯や桜の開花など、有機的なサイクルを観察することは、私たちの感覚を刺激し、豊かな感性を育みます。自然環境とは、畏敬の念、驚き、美しさ、清水のような謙虚な心を育める場所です。

  • 「パーマカルチャー」は最高の教室: 菜園では、生物学、化学、生態学、数学、地理学、文学など、ほぼすべての学問を横断的に教えることができます。

  • エコリテラシーの獲得: 地球環境の仕組みを理解し、良好な関係を保ちながら生きる術を知ることで、人類の幸福のために科学技術をどのように応用すべきかを理解できるようになります。

キャロル・犬飼・ディクソン(Carol Inugai-Dixon)
日本国際バカロレア教育学会(JSIBS)初代会長、筑波大学客員教授。
英国出身。インターナショナルスクールなど、40年以上にわたり国際教育に携わり、筑波大学大学院の国際バカロレア教員養成コースでも指導を行う。主な著書(共著)に『「知の理論」をひもとく―UNPACKING TOK』(生活書院)、『国際バカロレア(IB)教育がわかる本』(創成社)などがある。

脳科学者・茂木健一郎氏が語る「野外教育と脳の成長」

AIやテクノロジーが急速に進化する現代において、リアルな自然体験は子どもの脳にどのような影響を与えるのでしょうか。

カリキュラム・ラボ顧問の茂木健一郎先生によると、実は「10歳(小学4年生)」という時期は、子どもの脳が「サナギから成虫へと生まれ変わる」ほど劇的な変化を迎えるタイミングなのだと言います。なぜ今、大自然の複雑性に触れるべきなのか。脳科学の視点から、野外教育がもたらす圧倒的な価値を語っていただきました。

  • 複雑性処理回路の発達: 山の中で植物や生き物などの「生物多様性」に直接触れることで、脳の中で複雑性を認識して処理する回路が発達していきます。

  • 感情の中枢「扁桃体」の活性化: 生き物への驚きや自然の変化に感動し、「自分にもこんなことができるんだ」と気づくことで扁桃体が活性化し、脳全体の学びを進めます。

  • 仲間と協力し合う脳の育成: 普段できないことを仲間と協力して成し遂げる実体験が、コミュニケーションやコミュニティビルディングの脳回路を鍛えます。

  • 一生、柔軟に変化し続けられる脳へ: 10歳は「安全基地を受け取る側」から「与える側」への変化が起こる思春期の始まりです。この大事な時期を自然の中で過ごすことで、変化に強く、一生自分たちで工夫して新しい価値を生み出せる脳が育まれます。

プロフィール:茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者。理学博士。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。『脳と仮想』(小林秀雄賞)など著書多数。日本の精神性を脳科学視点で描いた『IKIGAI』は世界30カ国以上で翻訳出版され、国内外で大きな反響を呼ぶ。
2014年から当学園のカリキュラム・ラボの顧問として、プログラムの監修や子どもたちとの対話に携わっている。